小さな山小屋 水晶小屋

水晶小屋裏赤岳付近から夕映えの鷲羽岳、
ワリモ岳を望む。

 水晶小屋は、水晶岳の肩にある、赤岳直下に身を潜める様に建っています。
 この場所の風土の特徴は、植生の豊かさ、天候の移り変わりの激しさ、そして風の強さにあり、穏やかさと激しさの両面を持つ、気高く、とらえどころのない山と言えます。
 風の強さにおいては、過去に2度建設中の水晶小屋を飛ばされた経験を持ち(1920年、30年代)、現在でも、前線の通過時、台風接近時には風速30〜70mといわれる突風が南方向から吹いてきます。(これは足が浮き立っていられない状態、また石が普通に飛んでくる状態。)
この風、気象条件は非常に危険で、過去には夏場に多数の凍死者を出し、私自身7年間小屋番として見守ってきましたが、目の前で巨大な丸太が吹き飛ばされたり、また山行の判断を誤った登山者の方が顔面蒼白で、ふるえながら小屋に駆け込んでくるのを何度も目にしました。
 水資源においても、非常に苦しい渇水を幾度か経験し、水の貴重さを身にしみて体験してきました。
 このような条件の中、昨年度、私たちは許される限りの増築を行いました。
ゆとりある小屋とまではいかず、依然登山者のみなさまにはご苦労をおかけする条件が多数あると思いますが、これからもよろしくお願いいたします。

 以下が水晶小屋からのお願いです。

1、布団は最大30枚ひけますが、8月上旬には1枚に2名をこす場合があります。

2、飲料水は、天水とミネラルウォーターでお分けしています。昨年度の増築工事で集水力はましたものの、いまだに水資源は限られています。天水はお分けできる上限をお一人様1L/200円でお願いします。

3、狭い小屋につき、非常にシビアな就寝場所の割り振りを行っています。16時以降のご到着は運営上の支障となりますので、早めの到着でお願いします。

4、当小屋は予約制ではありませんが、運営上の混乱を避けるため、お泊まりの日をお伝えいただいております。お泊まりの方はできるだけ三俣山荘事務所、または三俣山荘へご一報ください。

水晶岳の山中とは、本来人の生活できる場所ではありません。
私たちは「山に生かされている」という事実を常に心にとめ、最善の運営に努めてきました。これは登山者の皆様のご理解なしには成し得ることのできないことです。山と人のつながりの未来の為にもご協力をよろしくお願いいたします。

 

水晶小屋主 伊藤 圭